2023.3.22
水曜日
思い立って外出することにした。
広島市現代美術館に行った。
招待券をもらったのと、ショップに気になるものが出ていたので。
行きの電車では、ずっと読みかけだった、高島鈴の『布団の中から蜂起せよ』を読んでいた。
広島市現代美術館は、黒川紀章の建築で、広島駅から路面電車に数駅乗り、山を登った所にある。
大規模な改修工事が終わったばかりのそこでは、リニューアルオープンの記念展示が行われていた。
名前を知っている作家も知らない作家もいたが、面白かった。
原爆投下と美術館の改修を重ねた、エポックメイキング……みたいなものをテーマにしているんだろうか。
美術館の改修についてと、原爆、大震災、チェルノブイリ関連のものが多かった。
『原子すごろく』という湯川秀樹とノーベルが描かれた原子力賛美すごろくがあり、遊べるようになっていた。
使えるコマとして、ゴジハムくんや鉄腕アトムが置かれていた。ネタが細かい。
干からびたニンジンもいっぱい展示されていた。ちゃんとコンセプトはあるのだが、干からびたニンジンがいっぱい飾られているのがなんだか面白かった。
読んでいた『布団の中から蜂起せよ』にボルタンスキーの話が出ていた。
ユダヤ系がルーツのボルタンスキーは、死や記憶にまつわる作品を制作している作家で、ホロコーストをモチーフにした作品を多く作っている。本には、ホロコーストを意図的にモチーフにしようとしているというより、本人の根元に癒着しているから自然と作品にも立ち現れてくるのではないか、みたいなことが……書かれていた。汲み取り方が下手。
自分は祖先が被爆している訳ではないが、広島で平和教育を受けてきたので、今日見た美術館のような展示があると見に行きたくなる。
意図的に見に行こうとしているというよりは、小さい頃から剥がせない位置に「ヒロシマ」があるからなのかもしれない。
話が戻るが、目的のひとつは、ミュージアムショップに置かれている個人制作のぬいぐるみシリーズ、『ぬい天』だった。
写真で見た時からこのターコイズブルーの個体がすごく気になっていたので、あってよかった。
縫製がすごくきっちりしていて、生地もふわふわ。目もキラキラだ。足に重しのビーズも入っている。とてもかわいい。SNSを見たところ、色違いの個体もいるようだ。
知名度と値段には、どうしても相関性があるものなのは分かっている。が、このつくりでこの値段はちょっと安すぎるように思う。(値段を明記するのは避ける)
でも、作家さんは「拝金主義から遠ざかったところでやりたい」とおっしゃっているようなので、妥当な値段なのかもしれない。分からない。倍くらいでもおかしくはない。インターネット特有の、すべてを「安すぎる」と評する大喜利ではなく、本心として。
ぬい天を一行に加えた後、駅ビルでお昼を食べる。本当はぬい天の写真が撮りたかったのだが、デカくて出すのに躊躇してしまった。
思い立ってジュンク堂に行き、ユリイカのぬいぐるみ特集の号を探したが、在庫が無かった。通販するかどうか迷う。
どうしても外で写真が撮りたくて、芝生広場で子供に混じって写真を撮ったり、喫茶店に入ってメロンソーダを頼み、一緒に写真を撮ったりした。
ぬいぐるみと写真を撮るという文化に、以前はほとんど関心がなかった。
バイトしていた喫茶店(映えスポットとして賑わっていた)でぬいぐるみを出しているお客さんを見るたび、微笑ましくすら思っていた。
しかし、自分自身がひよこのぬいぐるみを買って連れて歩くようになり、だんだんぬいぐるみが、口のない旅の友人のように思えてきた。
引きこもりの身分で、娯楽のための品をこれ以上買う訳にも行かないというのは自戒としてあるのだが、既に次の欲しいぬいぐるみに目を付けている……。
・歩いた歩数
11073歩
・精神の具合
よい